死後事務委任契約とは?──おひとりさまが知っておくべき「最後の約束」

「自分が死んだあと、誰が手続きをしてくれるのだろう」

そんな不安を、ふと抱いたことはありませんか。

家族がいれば、多くの場合は遺族がすべて対応してくれます。葬儀の手配、役所への届出、賃貸住宅の解約、銀行口座の手続き——それらは「当たり前に誰かがやってくれること」として、あまり意識されません。

でも、おひとりさまの場合は違います。

頼れる家族がいない、あるいはいても遠方だったり疎遠だったりすると、「死後の手続きを誰に任せるか」という問題が、切実な現実として浮かび上がります。

2024年時点で、65歳以上の単身世帯は約700万人を超えたとも言われています。おひとりさまの終活は、もはや「一部の人の話」ではありません。

そんな方に知っていただきたいのが、死後事務委任契約という制度です。

「難しそう」「自分には関係ない」と思わずに、ぜひ最後まで読んでみてください。この記事を読み終えるころには、「なんだ、そういうことか」とすっきりした気持ちになっていただけるはずです。

「死後のこと、誰に頼めばいいのだろう」——その答えが、死後事務委任契約です。
目次

死後事務委任契約とは?ひと言で言えば「死後の手続きを頼む約束」

死後事務委任契約とは、「自分が亡くなった後に必要なさまざまな手続きを、信頼できる人や専門家に委任しておく契約」のことです。

生前に、受任者(依頼を受ける側)と委任者(依頼する側)が書面で契約を結びます。委任者が亡くなった後、受任者がその契約に基づいて事務を処理します。

「委任」という言葉が法律っぽく聞こえますが、要するに「私が死んだあとのことを、あなたにお願いしておきます」という約束を、ちゃんとした形で残しておくことです。

何を頼めるのか?主な委任事務の例

死後事務委任契約で依頼できる内容は、大きく以下のようなものが挙げられます。

  • 死亡届の提出(市区町村役場への届出)
  • 葬儀・火葬の手配
  • 遺体の引き取り・搬送
  • 納骨・埋葬の手続き
  • 賃貸住宅の解約・明け渡し
  • 公共料金・サブスクリプションの解約
  • 預貯金口座の解約手続き(相続手続きと連携して)
  • SNS・デジタルアカウントの削除
  • 遺品整理・形見分け
  • 関係者(友人・知人・勤務先等)への連絡
  • ペットの引き渡し手配

これらのすべてを依頼することもできますし、「葬儀と部屋の片付けだけお願いしたい」というように、自分の状況に合わせて選択することも可能です。

「遺言」とは何が違うの?混同されがちな2つの制度

「遺言を書けばいいのでは?」と思った方も多いかもしれません。実は、遺言と死後事務委任契約は役割がまったく異なります

項目遺言書死後事務委任契約
主な目的財産の分け方・相続先の指定葬儀・手続き・生活の後始末
対象財産(お金・不動産・物)事務手続き全般
効力発生タイミング死亡後、遺言が執行されてから死亡と同時に受任者が動ける
おひとりさまへの有効性相続人がいない場合は機能しにくい相続人がいなくても機能する

遺言書は「財産を誰に渡すか」を決めるもの。死後事務委任契約は「亡くなった後の生活の片付けを誰にお願いするか」を決めるものです。

おひとりさまにとって、財産よりも先に問題になるのは「葬儀を誰に頼むか」「部屋を誰が片付けるか」という、日常の後始末です。だからこそ、死後事務委任契約が特に重要な意味を持ちます。

なお、遺言と死後事務委任契約は「どちらか一方」ではなく、セットで準備するのが理想的です。それぞれが補い合うことで、「その後」を丸ごとカバーできます。

遺言書と死後事務委任契約は、どちらか一方ではなく「組み合わせて使う」のが正解です。

誰に頼めばいいのか?受任者の選び方

死後事務委任契約の受任者(実際に動いてくれる人)は、原則として誰でも構いません。信頼できる友人・知人でも、専門家でも。

ただし、現実的に考えると、友人や知人に頼むことにはリスクもあります。受任者が先に亡くなってしまうかもしれない。長年疎遠になってしまうかもしれない。「頼んでいたはずなのに、いざとなったら動けない」という事態は、十分あり得ます。

そのため、おひとりさまの死後事務委任では、専門家や法人への委任が推奨されます。

受任者として考えられる主な選択肢

  • 司法書士・行政書士・弁護士などの士業:法律の専門家。書類手続きに強い。ただし葬儀や遺品整理などの「実務」は別業者への連携が必要になることも。
  • NPO法人・一般社団法人:非営利で支援を行う団体。ただし財政基盤や継続性の確認が大切。
  • 終活専門の支援会社(そろそろ®のような):葬儀・遺品整理・手続きをワンストップで対応できる。実務経験の豊富さが強み。

重要なのは、「書類手続きだけ」ではなく、実際の葬儀や部屋の片付けまで一貫して担えるかという点です。死後の現場は、書面の整理だけでは終わりません。

費用はいくらかかる?相場の目安と注意点

死後事務委任契約の費用は、依頼する内容・受任者によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。

  • 契約書作成費用(公正証書含む):3万〜15万円程度
  • 死後事務の実費:葬儀・火葬・遺品整理など、実際にかかった費用
  • 受任者への報酬:実費とは別に20万〜50万円程度(専門家・法人の場合)
  • 預託金(前払い):費用を生前に預けておく仕組み。30万〜100万円以上になるケースも

ここで注意しておきたいのが「預託金」の扱いです。受任者に前払いでまとめて渡す方法は、万一受任者側が倒産・廃業した場合に、お金が戻ってこないリスクがあります。

「葬儀信託」という仕組みを活用すると、このリスクを回避できます。信託銀行に費用を預けておき、死後に信託口座から直接支払われる形をとるため、受任者側の経営状況に左右されません。

そろそろ®では、東京での葬儀信託口座の開設に対応しています。費用の安全な管理についても、ぜひご相談ください。

→ 葬儀信託についてはこちら

25年・5万件の現場から、私が伝えたいこと

私はこれまで、警視庁の専門葬儀社として25年間、累計5万件以上の現場に関わってきました。

その中で何度も出会ったのが、「誰にも看取られず、誰にも送られなかった人」の最期です。

賃貸の部屋でひっそりと発見され、葬儀もなく、荼毘に付されていく。遺品は誰かが片付け、口座は凍結され、ゆかりの人への連絡すら誰もしない。そんな「後始末」を、私は何度も目の当たりにしてきました。

そのたびに思うのです。この人は、こんなふうに「処理」されることを望んでいたのだろうか、と。

人は誰でも、「ちゃんと送られる権利」を持っています。「供養される権利」と、私は呼んでいます。身寄りがいるかどうか、財産があるかどうかに関係なく。ひとり身であっても、その権利は等しくある。

死後事務委任契約は、その権利を自分で守るための、最もシンプルで確かな方法のひとつです。

「備えておいて、よかった」そう思っていただけるように。そろそろ®は、あなたの「最後の約束」のパートナーでありたいと思っています。

「誰に任せるか」を決めておくだけで、不安は安心に変わります。

死後事務委任契約を結ぶ、具体的な流れ

「実際にどうやって契約するのか」を、シンプルにご説明します。

  1. 相談・ヒアリング:希望する委任内容(葬儀の形式・遺品の扱い・連絡先リストなど)を整理します。
  2. 契約書の作成:委任内容を文書化します。公正証書にすることで、法的効力が高まります。
  3. 費用の準備・預け方の確認:前払い方式か葬儀信託か、安全な費用管理の方法を決定します。
  4. 契約締結・保管:契約書を公証役場で作成・保管します。コピーは受任者と自分の双方が持ちます。
  5. 定期的な内容確認:状況が変わったら(引っ越し・希望の変化など)、契約内容を見直します。

まずは「どんな内容を頼みたいか」を大まかに整理するところから始まります。完璧に決まっていなくても大丈夫。相談しながら一緒に形にしていくことができます。

まとめ:「最後の約束」が、あなたの安心をつくる

死後事務委任契約について、ここまで読んでいただきありがとうございます。

おさらいすると、死後事務委任契約とは「亡くなった後の手続きや後始末を、信頼できる人・専門家にあらかじめ任せておく契約」のことです。

  • 葬儀・火葬の手配から、部屋の片付け・口座解約まで幅広く委任できる
  • 遺言書とは役割が異なり、組み合わせて使うのが理想的
  • 受任者は専門家・法人が信頼性が高い
  • 費用の預け方は「葬儀信託」を活用するとリスクを減らせる

「まだ早いかな」と思うのは自然なことです。でも、契約は元気で判断力があるうちにしか結べません。「そろそろかな」と思ったときが、ちょうどいいタイミングです。

そろそろ®では、死後事務委任契約に関する無料相談を受け付けています。「何を頼めばいいかわからない」「費用が心配」「まず話だけ聞いてみたい」——どんなことでも、お気軽にご連絡ください。

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