お別れの形は、ひとつではない
家族のかたちや、地域とのつながりが変わり、少人数で、短い日程で送る形を選ぶ方が増えました。形式に優劣はありません。何を大切にしたいかで選びます。
| 形式 | 日程 | どんな送り方か | 向いている場面 |
|---|---|---|---|
| 直葬・火葬式 | 火葬の日のみ | 通夜・告別式を行わず、火葬を中心に送る。火葬炉の前で短いお別れの時間をとることが多い | 費用を抑えたい/呼ぶ人が少ない/本人の希望 |
| 一日葬 | 1日 | 通夜を行わず、告別式と火葬を同じ日に | 高齢の参列者が多い/遠方から来る家族がいる |
| 家族葬 | 2日 | 通夜と告別式を、家族や親しい人を中心に | ゆっくりお別れしたい/参列の範囲を絞りたい |
| 一般葬 | 2日 | 親族のほか、友人・職場・地域の方にも広く参列いただく | 交友が広い/お別れの場を設けたい人が多い |
呼び方と中身は、葬儀社によって少しずつ違います。名前ではなく、「通夜はあるか」「お別れの時間は何分か」「読経はお願いできるか」で比べてください。
直葬は「処理」ではない
経済的な事情、家族の事情、あるいは本人の希望で、シンプルなお別れを選ぶことには、たしかな意味があります。問われるのは形式ではなく、その時間に「祈り」があるかどうかです。
火葬炉の前で手を合わせる数分間も、れっきとした供養です。
直葬でもできること
直葬でも、葬祭費は受け取れるか国民健康保険などの葬祭費は「葬祭を行った人」に支給されます。火葬だけの場合の扱いは、区や時期によって案内が違い、ネット上に古い情報も残っています。23区の葬祭費は5万〜7万円(区によって異なります)。申請前に、故人が住んでいた区へ確かめてください(第4章)。
見積もりで確かめることと、火葬料
同じ「○万円」でも、何が含まれているかは葬儀社ごとに違います。比べるときは、広告の金額ではなく、総額の見積もりを書面でもらい、同じ条件で並べます。
葬儀の費用は、5つに分かれる
- 葬儀社への支払い搬送、安置、棺、ドライアイス、祭壇、人件費など
- 火葬料火葬場に払う。火葬場によって違う
- 式場の使用料通夜・告別式を行う場合
- 飲食・返礼品通夜振る舞い、会葬御礼、香典返し
- 宗教者へのお礼読経、戒名など。葬儀社の見積もりには入らないことが多い
見積もりで聞いておくこと
東京23区の火葬料と、区民葬儀の助成
町屋・落合・代々幡・四ツ木・桐ケ谷・堀ノ内の各斎場。中央区の案内による
2026年4月1日から、23区共通。小人は15,000円
祭壇券か霊柩車券を使い、上の6斎場で最も低い火葬料を払った場合。火葬の翌日から2年以内に区へ申請
23区には公営の火葬場(臨海斎場・瑞江葬儀所)もあり、料金と利用できる区の条件が民間と違います(臨海斎場は港・品川・目黒・大田・世田谷の5区民なら大人44,000円、瑞江葬儀所は都民なら大人59,600円)。どこで火葬するかは、日程の空きとあわせて葬儀社と相談します。
この節の根拠(確認日 2026年10月22日)
- 中央区「区民葬儀にかかる火葬費用の助成」(指定6斎場、最も低い火葬料87,000円、助成額 大人27,000円・小人15,000円、申請は火葬の翌日から2年)
https://www.city.chuo.lg.jp/a0012/syohisikatsu/20260401.html - 文京区「区民葬儀利用助成のご案内(令和8年4月1日〜)」(23区共通の制度、祭壇券または霊柩車券の利用が条件)
https://www.city.bunkyo.lg.jp/b016/p003756.html
喪主と、費用を払う人
喪主は、葬儀を主宰する人です。葬儀社との打ち合わせ、宗教者への依頼、参列者へのあいさつを取りまとめます。配偶者や子が務めることが多いですが、法律で決まった役ではないので、家族の話し合いで決められます。
喪主を務める人がいないとき
費用は、誰がどう払うか
- Step 1
まず、
喪主や 契約した 人が 立て 替える 葬儀社との契約は、契約した人が支払う約束になります。
- Step 2
故人の
預貯金から、 一部を 払い 戻せる 遺産を分ける前でも、相続人の一人が一定額まで払い戻しを受けられます(第1章)。
- Step 3
相続人どうしで
精算する 誰がいくら負担するかは、遺産分割の話し合いで決めます。相続税の計算では、葬儀費用を遺産から差し引ける決まりがあります(香典返しや法要の費用は差し引けないなど、範囲に決まりがあります)。この二つは別の話です。
相続を放棄するかもしれないときは故人のお金の使い方によっては、相続を承認したとみなされ、放棄できなくなることがあります。葬儀費用に使う場合も、先に専門家へ確かめてください(第7章)。
葬儀社と打ち合わせる前に決めること
最初の打ち合わせで聞かれることを並べました。すべてをその場で決める必要はありません。「家族で相談して、明日までに返事をします」と伝えて大丈夫です。
最初の打ち合わせで聞かれること
ご遺族が迷いやすいところ
- 親戚を、どこまで呼べばいいかわからない
- 「知らせること」と「参列をお願いすること」を分けて考えます。家族だけで送る場合でも、亡くなったことの連絡は入れておくほうが、あとのすれ違いを防げます。
- お寺とのお付き合いがない。戒名は必要?
- 戒名は仏式で授かるもので、必ず必要なものではありません。生前の名前のまま送ることもできます。ただし、お寺の墓地に納骨する予定があるときは、戒名が求められることがあるので、先にお寺へ確かめてください。
- 香典は、受け取る?辞退する?
- どちらが正しいということはありません。香典には、葬儀の費用を支え合う意味もあります。受け取る場合は、香典返しの準備も考えておきます。
- 宗教なしで送ってもいい?
- できます。読経の代わりに、好きだった音楽を流す、手紙を読む、黙とうするなど、送り方は自由に決められます。
火葬場での流れ
火葬場では、葬儀社の担当者が案内します。ここでは、一般的な流れを示します。所要時間は火葬場によって違います。
- Step 1
到着・受付
葬儀社が火葬許可証を火葬場に出します。
- Step 2
炉の
前での 最後の お別れ 手を合わせ、仏式なら読経をしていただく時間です。
- Step 3
火葬
控室で待ちます。1時間から2時間ほどが目安です(区営の臨海斎場は「火葬は1時間半ほど」と案内しています)。
- Step 4
収骨
(お骨上げ) ご遺骨を骨壺に納めます。
- Step 5
火葬済みの
許可証を 受け取る 火葬済みの証明が記された火葬許可証が返されます。納骨のときに必要な大切な書類なので、骨壺と一緒に保管してください(第5章)。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 臨海斎場「利用案内」(火葬は1時間半ほどかかります)
https://www.rinkaisaijo.or.jp/guide/
生前に、葬儀を決めておく意味
「自分の葬式の話なんて、縁起でもない」。そう感じる方も多いと思います。けれど私たちは、生前に決めておいてくださったご本人のおかげで、ご遺族が救われる場面を何度も見てきました。
形式、呼ぶ人の範囲、宗教、遺骨の行き先。決まっていないと、悲しみの中で、ご遺族がすべてを判断することになります。生前に決めておくことは、残される人を、悲しむことだけに向き合わせてあげる思いやりです。
もしものときの葬儀代を、前もって預けておける方法(葬儀信託)があります。預けたお金は、信託の仕組みで、預かる会社の財産と分けて管理されます。和も扱っています。仕組みと、確かめておくべき点は第8章「もしものときの葬儀代を、前もって預けておく」にまとめています。
葬儀の相談先
株式会社和が運営する窓口です。どこにご相談いただいても、ご希望に合う窓口へおつなぎします。
よくある質問
Q直葬と火葬式は違いますか?
どちらも通夜・告別式を行わず、火葬を中心に送る形です。火葬の前に短いお別れの時間を設けるものを火葬式と呼ぶことが多いですが、呼び方と内容は葬儀社によって違います。お別れの時間や読経をお願いできるかを、見積もりの段階で確かめてください。
Q家族葬は何人くらいまでですか?
人数の決まりはありません。家族や親しい方を中心に送る葬儀を、家族葬と呼ぶことが多いです。呼ぶ人の範囲は、ご家族で決めてかまいません。会場の広さ、料理や返礼品の有無で費用が変わります。
Q葬儀費用は誰が払うのですか?
喪主や、葬儀社と契約した人が支払うのが一般的です。あとから相続人どうしで分担したり、故人の預貯金から精算したりすることもあります。相続を放棄するかもしれないときは、故人のお金の使い方に注意が必要なので、先に専門家へ確認してください。
Q直葬でも供養になりますか?
なります。火葬炉の前で手を合わせる数分間も、れっきとした供養です。お花を手向ける、手紙を棺に入れる、読経をお願いするなど、直葬でもできることはあります。火葬のあとの遺骨の行き先まで考えておくと、送り方がひとつにつながります。