まず、全体の流れ
外国籍の方が日本で亡くなったときも、まず必要なのは日本の役所への死亡届です。そのうえで、国籍のある国(本国)への届け出、在留カードの返納、ご遺体をどこで、どう送るかが加わります。
- 日本の役所に死亡届亡くなったことを知った日から7日以内
- 大使館・領事館に連絡本国への届け出と、必要な書類を確かめる
- 在留カード等を返す亡くなった日から14日以内
- 送り方を決める本国へ送るか、日本で火葬・埋葬するか
亡くなった直後の流れ(死亡診断書を受け取る、安置する場所を決める、搬送を頼む)は、国籍にかかわらず同じです(第1章 亡くなった直後にすること)。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 法務省「国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A」(外国人には戸籍はないが、日本で死亡した場合は戸籍法が適用され、死亡届が必要)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji15.html
日本の役所に出す死亡届
外国籍の方には日本の戸籍はありませんが、日本で亡くなった場合は、日本の法律(戸籍法)にもとづいて死亡届を出します。届け出ると住民票が消され、火葬や埋葬の許可も出ます。
死亡届を出したことを証明する書類
本国の手続きや年金の請求などで、日本で死亡届が受理されたことを示す書類を求められることがあります。役所が出す書類には、届け出た人が請求できる「受理証明書」と、遺族年金の請求など特別な理由があるときに請求できる「死亡届記載事項証明書」があります。どちらが必要かは、提出先に確かめてから請求してください。
2024年3月1日以降に出された死亡届については、死亡届を出した市区町村で請求します。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 法務省「国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A」
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji15.html - 法務省「死亡届」(届出期間7日以内、届出人、届出地)
https://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILYREGISTER/5-4.html - 戸籍法 第25条第2項(外国人に関する届出は届出人の所在地)・第48条(受理証明書・記載事項証明書)・第86条・第87条・第88条(死亡地での届出)
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000224 - 大阪市「死亡届」(外国籍の方も死亡届が必要、住民票の消除、埋火葬許可証、氏名はカタカナ+ローマ字)
https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000369831.html - 東京法務局「戸籍届書類の記載事項証明書の交付請求について」(請求できる人と特別の事由。2024年3月1日以降に届け出た届書類は、届け出た市区町村などで請求)
https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000061.html
大使館・領事館と、本国への届け出
死亡届は、日本の役所と本国の2か所に出すのが基本です。本国への届け出の方法は国によって違うため、まず日本にある本国の大使館・領事館に連絡し、何を、どこに出せばよいかを確かめます。大使館・領事館の連絡先は、外務省の「駐日外国公館リスト」で調べられます。
アポスティーユと公印確認
日本の役所が出した書類を本国で使うとき、提出先から外務省の証明を求められることがあります。外務省の証明には2つの種類があります。
どちらも、提出先や大使館から求められた場合にだけ申請するものです。条約の締約国でも、領事認証を求められることがあるため、先に提出先か大使館に確かめてください。
東京葬祭なごみの取扱い 東京葬祭なごみは、大使館での手続きや翻訳も承ります。何が必要か分からない段階でも、まずご相談ください。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 株式会社和への確認(2026年10月23日)(死亡届は日本と本国の2か所に出すこと、東京葬祭なごみの取扱い)
- 外務省「駐日外国公館リスト」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/link/emblist/index.html - 外務省「公印確認・アポスティーユとは」(求められた場合のみ申請、ハーグ条約締約国、領事認証)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000548.html - 在日米国大使館「Death of a U.S. Citizen」(大使館に伝える事項の例。手続きは国によって違います)
https://jp.usembassy.gov/services/death-of-a-u-s-citizen/
在留カード・特別永住者証明書を返す
期限を過ぎないように期限までに返さないと、罰金を科されることがあります。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 出入国在留管理庁「在留カード等の返納」(死亡の日から14日以内、親族又は同居者、持参又は郵送、返納先、罰金)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00020.html - 出入国管理及び難民認定法 第19条の15第4項
https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法 第16条第5項
https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000071
住民票・健康保険・年金
住民票は、死亡届を出すと消されます。住民票のためだけに別の届け出をする必要はありません。
日本の国民健康保険や国民年金は、国籍ではなく、日本に住所があるかどうかなどで加入が決まるしくみです。加入していた方が亡くなったときの手続き(健康保険の資格喪失、年金を止める届け出、葬祭費や未支給年金の請求など)は、日本国籍の方と同じように進めます。詳しくは第3章と第4章にまとめています。
脱退一時金と遺族年金
脱退一時金は、日本の年金に加入していた外国籍の方が、日本を離れたあとに請求するしくみです。「日本国内に住所がないこと」が条件の一つなので、日本で亡くなった場合には、ふつうは当てはまりません。
遺族年金や未支給年金を受け取れるかどうかは、亡くなった方の加入の状況と、遺族の条件で決まります。家族が海外に住んでいる場合も含めて、年金事務所に確かめてください。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 大阪市「死亡届」(死亡届により住民票が消除される)
https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000369831.html - 国民健康保険法 第5条(都道府県の区域内に住所を有する者は被保険者)
https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 国民年金法 第7条(日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者等が被保険者)
https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141 - 日本年金機構「脱退一時金は、どのような人が請求できますか。」(日本国内に住所を有していないこと等が条件)
https://www.nenkin.go.jp/section/faq/jukyu/seido/sonota-kyufu/dattai-ichiji/2020042801.html - 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」(未支給年金・遺族年金)
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html
本国へ送る:ご遺体のまま、またはご遺骨で
本国へ送る方法は、大きく分けて2つです。どちらにするかで、必要な書類も日数も大きく変わります。どちらの場合も、求められることは行き先の国や航空会社、大使館によって違います。
ご遺体のまま送る
ご遺体は、飛行機の貨物として送ります。長い移動に備えて、エンバーミング(防腐処置)を求められることが多く、棺にも条件がつくことがあります。
求められる書類の例は、エンバーミングを行ったことの証明書、死亡を証明する書類とその翻訳、大使館・領事館が出す書類、パスポートの写しなどです。飛行機の空きがなく、出発まで日数がかかることもあります。
ご遺骨にして送る
日本で火葬し、ご遺骨を本国へお連れします。ご家族が飛行機で持ち帰ることもできますが、ご遺骨を連れて帰るだけでも、手続きが必要です。火葬したことを示す書類なども求められます。
株式会社和がこれまで立ち会ったケースでは、大使館が骨壺の中に問題のある物が入っていないかを確かめ、封をして封蝋(蝋印)を押すことがありました。こうした確認のしかたは、国や大使館によって違います。
書類がそろわないと出発できません必要な書類と順番は、行き先の国・航空会社・大使館によって違います。早めに大使館と葬儀社に確かめてください。
東京葬祭なごみの取扱い 東京葬祭なごみは、エンバーミング、大使館での手続き、翻訳まで承ります。本国への送り方は国によって違うため、まずご相談ください。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 在日米国大使館「Death of a U.S. Citizen」(例:米国へ送る場合。エンバーミングしたご遺体は貨物で送る、ご遺骨は手荷物で持ち帰れる、必要書類、便の空きによる遅れ)
https://jp.usembassy.gov/services/death-of-a-u-s-citizen/ - 株式会社和への確認(2026年10月23日)(ご遺骨を連れて帰るときの手続き、大使館による骨壺の確認と封蝋は国や大使館によって違うこと、東京葬祭なごみはエンバーミング・大使館での手続き・翻訳を承ること)
日本で送る:宗教と土葬
宗教によっては、火葬ではなく土葬を望まれることがあります。日本の法律は土葬そのものを禁じてはいませんが、土葬は許可を受けた墓地の中でしかできず、市区町村長の許可も必要です。
さらに、自治体の条例で土葬を禁止する地域を決められるしくみがあり(例:東京都の条例)、土葬を受け入れる墓地は限られています。東京周辺では、土葬できる場所を見つけるのは難しいのが実情です。
宗教上の決まりがある場合は、信仰する宗教の団体や大使館にも相談しながら、日本で送るか、本国へ送るかを早めに考えます。
日本で火葬する場合の流れは、日本国籍の方と同じです(第2章 葬儀・火葬・お別れの形)。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 墓地、埋葬等に関する法律 第2条(埋葬=土中に葬ること)・第4条(墓地以外での埋葬の禁止)・第5条(市町村長の許可)
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000048 - 東京都「墓地等の構造設備及び管理の基準等に関する条例」第14条(土葬禁止地域の指定)
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00000893.html - 同条例施行規則 第6条(土葬禁止地域の指定)
https://www.reiki.metro.tokyo.lg.jp/reiki/reiki_honbun/g101RG00000894.html - 在日米国大使館「Death of a U.S. Citizen」(東京周辺では火葬しないご遺体を埋葬できる場所がない)
https://jp.usembassy.gov/services/death-of-a-u-s-citizen/
相続は、どの国の法律で決まるか
外国籍の方の相続は、原則として、亡くなった方の本国の法律で決まります。誰が相続人になるか、それぞれの取り分などが、日本の法律と違うことがあります。
専門家に早めに相談を日本にある預金や不動産の手続きでも、本国の法律や書類を調べる必要があり、手続きが複雑になりがちです。国際的な相続に詳しい弁護士・司法書士などの専門家に、早めに相談してください(相続の基本は第6章)。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 法の適用に関する通則法 第36条・第37条・第41条
https://laws.e-gov.go.jp/law/418AC0000000078
ことばの壁と、家族が海外にいるとき
日本の役所の書類は日本語で、本国へ出す書類には翻訳が必要になることがあります。分からない言葉は、そのままにせず確かめながら進めましょう。
相談できる窓口
在留カードの返納など、在留の手続きのことは、出入国在留管理庁の「外国人在留総合インフォメーションセンター」に電話で聞けます(0570-013904。平日8時30分〜17時15分。日本語・英語・中国語・韓国語・スペイン語・ポルトガル語・ベトナム語・ネパール語・タイ語・ミャンマー語・シンハラ語)。
家族が海外にいるとき
死亡届や在留カードの返納は、日本で一緒に暮らしていた人などでも行えます。家族が日本に来られないときは、誰が何を決め、どの書類を用意するのかを、大使館にも相談しながら確かめます。時差があるので、日本側の連絡の窓口になる人を一人決めておくと、やりとりが進めやすくなります。
東京葬祭なごみの取扱い 東京葬祭なごみは、翻訳や大使館での手続きも承ります。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 出入国在留管理庁「外国人在留総合インフォメーションセンター等」(電話番号、受付時間、対応言語)
https://www.moj.go.jp/isa/consultation/center/index.html - 法務省「死亡届」(届出人に同居者を含む)
https://www.moj.go.jp/ONLINE/FAMILYREGISTER/5-4.html - 出入国在留管理庁「在留カード等の返納」(親族又は同居者が返納)
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00020.html - 株式会社和への確認(2026年10月23日)(東京葬祭なごみの取扱い)
ケースバイケースなので、まず相談を
外国籍の方が亡くなったときの進め方は、国籍、宗教、ご家族が住んでいる場所、ご本人の希望によって、一つとして同じものはありません。ケースバイケースなので、まず相談を。分からないことを、分からないまま話していただいてかまいません。
株式会社和は、外国籍の方のご葬儀やご遺骨の送還について、さまざまなケースを経験しています。
この節の根拠(確認日 2026年10月23日)
- 株式会社和への確認(2026年10月23日)(外国籍の方のご葬儀・ご遺骨の送還の経験、東京葬祭なごみはエンバーミング・大使館での手続き・翻訳を承ること)
よくある質問
Q外国籍の方が日本で亡くなった場合も、日本の役所に死亡届を出すのですか?
はい。外国籍の方には日本の戸籍はありませんが、日本で亡くなった場合は戸籍法にもとづいて、亡くなったことを知った日から7日以内に、亡くなった場所か届け出る人の所在地の市区町村役場に死亡届を出します。本国への届け出は、これとは別に必要です。
Q在留カードはどうすればよいですか?
亡くなった方の親族か同居していた人が、亡くなった日から14日以内に出入国在留管理庁へ返します。地方出入国在留管理官署に持っていくか、郵送で返せます。特別永住者証明書も同じです。
Qご遺骨を本国へ持ち帰るだけなら、手続きはいりませんか?
ご遺骨を連れて帰るだけでも、手続きが必要です。火葬したことを示す書類などのほか、大使館が骨壺の中を確かめて封をすることもあります。必要なことは国や大使館によって違うので、早めに大使館に確かめてください。
Qご遺体のまま本国へ送ることはできますか?
飛行機の貨物として送る方法があります。エンバーミング(防腐処置)を求められることが多く、エンバーミングの証明書、死亡を証明する書類とその翻訳、大使館の書類などが必要になります。必要なものは国や航空会社によって違います。
Q相続は日本の法律で決まりますか?
原則として、亡くなった方の本国の法律で決まります。本国の法律が「日本の法律による」と定めている場合は、日本の法律で決まります。国によって大きく違うため、国際的な相続に詳しい専門家に相談してください。